みんなの憧れアルミ削りだしケースをつくる #3
前回はケースの設計が終わりました.
正直なところ,金を積めば形状はどうにでもなると思います.自分で作るのであればそうもいきませんが.
今回は機械で加工を行うための準備をしまうす.前回よりも込み入った話になってしまうかと思います.
正直なところ,この情報を求めている人が居るとはあんまり思えないですが...
具体的には,CAMと呼ばれるソフトを使って,機械を動かすためのプログラムを作成します.
※イラストとか少ないので適宜調べてください.下線部はキーワードです,検索すればある程度の情報が得られると思います.
CAMってな~に?
さて,CAMについてですが,CAMとは機械加工を支援するためのコンピュータソフトを指します.
似たような言葉にCADがありますが,これは設計をコンピュータを用いて行うためのソフトになります.CAMは製造に特化したソフトという認識でいいと思います.
私が日常的に使っているCADソフトはAutodesk Fusion360ですが,実はFusion360にはCAMも含まれています.ついでに言えば,強度解析などを行えるCAEの機能も含まれています.
実はとってもすごいソフトウェアなんですね.
人間の手で動かす汎用機械とは異なり,マシニングセンタなどはプログラム(NCプログラム,Gコードなどと呼ぶ)によるコンピュータ制御で加工を行います.そうしたプログラムを人間の手で書くのは大変なので,CAMを使うことによって簡単により複雑な加工を実現できます.
3軸の機械を使う場合,必ずしもCAMを使う必要はないと思います.ある程度の知識があれば,プログラムを直接書いてしまうほうが早い場合もあるでしょう.これについては,目的などに応じて使い分ければ良いと思います.
私の場合,カッターマークを残したいので,今回はCAMを使うことにします.
パスの生成
具体的な手順をすべて説明はしませんが,主要な手順と設定等を残しておきます.
初めに,使う工具を設定しておきましょう.工具ライブラリから,自分が使う工具のプロファイルを登録し,基準となる切削条件もここで設定しておくのがいいでしょう.
複数の工具を用意したのであれば,すべて登録します.二枚目の画像にある切削条件については後述します.ここで登録してるのはあくまでも基準となる値です.
プログラムの設定についてですが,今回は3Dのポケット除去しか使いません.
今回は2つのポケット加工のパスを生成するため,それぞれで荒削りと仕上削りの2つを設定する必要があります.合計で4つのプログラムになります.
Fusion360の製造の画面に移動し,上のタブにある3Dからポケット除去を選択して細かな設定を行います.設定項目は以下の通りです.
①工具
工具は先ほど登録した工具の中から,使うものを選択します.パスごとに切削条件を変更できるため,ここで細かな設定を行います.
私が使う機械の主軸は4000rpmまでしかでないので,切削速度(下記画像ではサーフェス速度)は約75m/minになっています.工具によりますが,アルミを超硬合金で切削する場合,200~300m/minぐらいが良いですが,機械の都合上75m/minで妥協します.
送り速度は,1刃当たりの送りを0.05mmとし,3刃の工具なので600mm/minになります.このあたりは自動計算されるので,送り速度または1刃当たりの送りのどちらかを指定すればよいです.荒削りであれば刃当たり0.1mm程度でもよいと思いますが,効率よりも安全性を重視しています.
切込み送り速度は,エンドミルがz軸方向にのみ切り込むときの送り速度の事ですね.突っ込み加工とか言う場合もあります.通常この加工は推奨されませんが,どうしてもする場合(今回も実はしています)は通常の送り速度(x,y方向)の1/2~1/3程度であればよいかと思います.
切削速度(≒主軸回転数),送り速度,切り込み量の三つを特に,切削条件と呼びます.これは工具材料,被削材,工具形状,固定状態などによって加工者が適切に判断する必要があります.大手メーカ(OSGなど)のエンドミルであれば,切削条件は工具ごとに公開されているため,そうし値を基準値とし,判断するのが良いでしょう.
切削条件の決定にはいくつかの数式が用いられますが,今回は割愛します.詳しく知りたい人にはOSGが公開している以下のの資料がおススメです.OSGの技術資料
②形状
加工境界は工具で加工する箇所を限定する場合に用います.今回は,外周に面取りを入れているので,面取りを無視したパスを生成するために加工境界を設定します.
取り残し加工は,一つ前の操作(ポケット除去など)の結果をストックとして次のパスを生成する機能です.仕上削りのパスでは必ずこの項目を設定します.
③高さ
エンドミルの先端の高さを設定します.固定具などがストックよりも上部にある場合には,退避高さ,移動高さを固定具よりも高く設定しないと接触する可能性があります.
今回はボトムをポケット底面に設定し,それよりも下面の加工を行わないようにします.
④パス
最大粗取り切込みピッチは工具直径の1/2程度にしておくと安全です.荒加工の場合には,仕上げ代の設定を忘れないようにしましょう.
円滑化は,生成するNCプログラムのデータサイズに大きく影響します.機械の都合上で大きなデータが扱えないのであれば,有効にします.
⑤リンク
最初に材料への切込みかたを選べます.らせんが比較的安全でよいと思います.どうしても難しい場合には,切込みなどを選択しましょう.
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