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左にテンキーがあるキーボードが作りたい [6]

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左にテンキーがあるキーボードが作りたい第6回です. 前回は基板の3Dデータをエクスポートし,3DCADで扱うことができるようになりました. 今回はボディの設計に移ろうかと思ってたのですが,脱線して新しい可能性について検討します. 40%という可能性 ここまで設計した段階で”60%じゃなくて40%もいいのでは?”と思ってしまいました. 40%キーボードは数字60%キーボードから数字キーを無くしたものです. 写真はVORTEXのCOREというキーボードで,40%キーボードの中では比較的有名な製品かと思います. 40%キーボードはキーの数が限られているため,3層程度のレイヤーに数字や記号,Fキーを配置することになります.そのため,使いなれるにはそれなりの時間を必要とし,なかなか手が出しづらいのも事実です.(使い慣れれば使いやすいとかなんとか...) 小型であることがなによりの利点であり,持ち運びなどを考慮すると選択肢に入ってくるのではないのでしょうか. 反対に,数字キーや記号を頻繁に使う人にとっては使いづらいのかもしれません(使ったことないから分からない). 写真を見ればわかりますが,”P”の右隣りの2列が無くなっています(”「”,”」”).40%キーボードにしてしまうとそうした記号が打ちにくくなるのは許容しがたいです.慣れてしまえば特に気にしなくても使えるとは思いますが,それとは別に問題があります. それは, ” 他のキーボードを使えなくなってしまうこと”  です. キーボードを自分で設計することができれば,どのような配列であったとても作れてしまいます(たぶん).自分に最適化された 配列 , 形状 のキーボードを作ることはそう難しくはないでしょう. しかし,常に自分のデスクにあるキーボード使えるとは限らない人にとっては,一般的に広く採用されている配列,形状から逸脱したものに慣れてしまうと,他のキーボードを使う際に支障が出てしまうことになります. 私の場合は,大学ではノートパソコンを使うことが多く,共用のパソコンを触る機会も多々あります.自作したキーボードは家での作業の際に使うことがメインのため,持ち運ぶ事も想定していません. したがって, 広く採用されている配列から逸脱したものは採用できません . 考えた結果,”数字キーは無いけど記号はだいたいある配列”にすることでこの

左にテンキーがあるキーボードが作りたい [5]

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左にテンキーがあるキーボードが作りたい第5回です. 前回はPCBのレイアウトを決めましたね. 今回はKicadで設計した基板を Fuison360 で扱うことのできる3Dファイルへと変換してボディの設計に移りたいと思います. そんなに簡単にはいかない ただ単にSTEP形式で基板をエクスポートするだけの話なんですが,そんなに簡単にはいきません. 標準のライブラリにあるフットプリントには個別の3Dデータが紐づけられています(一部部品を除いて).そのため,それらフットプリントを使った場合には,特に気にすることなくエクスポートできます. 注意しなくてはいけないのは,新しくフットプリントを作った場合です. 標準のライブラリに必要な電子部品のフットプリントが無ければ,フットプリントエディターでフットプリントを新しく作ることになります.この場合3Dデータは新たに紐づけなければ,ビューアーで3Dモデルは表示されず,エクスポートした場合にも電子部品の3Dデータはありません. キースイッチはKicadの標準のライブラリにフットプリントがありますが,それらは3Dデータが無いものになります.さらに,標準のフットプリントライブラリは編集することができないため,これは使えないことになります. ライブラリにあるフットプリントを名前を付けて保存し,新たにパスを設定していきます. フットプリントのプロパティから,3D設定の項目に移動します. テキトウな場所に保存した .stepの3Dファイルを選択し,位置などを微調整すれば設定は完了です. 3Dファイルの設定は各フットプリントごとに行わなくてはいけないので,めんどうですがやりましょう. 2U以上のキースイッチはスタビライザーの3Dモデルも設定しておくと良いでしょう.ProMicroも忘れずに. ここまで設定出来たら,フットプリントを更新しておきましょう.すべてのフットプリントを更新というチェックボックスに☑をして更新します. ここまでの設定がうまくできていれば3Dビューアーを開くとすべてのスイッチが3Dモデルで表示されているはずです. 表示オプションから,”3D挿入部品モデルを表示”をオンにするのを忘れないでください. ちゃんと表示されていますね. これで3Dモデルの設定は完了しました. STEPは優秀 あとはエクスポートするだけですね. ファイルか

左にテンキーがあるキーボードが作りたい [4]

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左にテンキーがあるキーボードが作りたい第4回です. 前回はKicadで回路図まで書きました. これですね. 今回はこの回路図を基にPCBのレイアウトを決めていきます.ちょっとめんどくさい作業ですね. まずは下準備 初めに,回路図の シンボル と フットプリント を関連図ける作業をしなくてはいけません. シンボル は回路図におけるキースイッチやダイオードを表しているマークのことです. 画像の"SW_00","D00"などの一つ一つがシンボルと呼ばれているものです.回路図はシンボルを配線する作業(?)ということです. キースイッチは内部構造的にはごく単純なスイッチなので,81個すべてのスイッチが同じシンボルになっています. 一方, フットプリント とはその名の通り足跡を意味します.PCBの上でどれくらいの面積が必要なのか,もしくはどういった穴が必要なのかを示したもの二なります(説明がへたくそ).言葉で表現するよりも見た方が早いです. これがCherryMXキースイッチのフットプリントです.このフットプリントは1Uのスイッチですね. フットプリントはシンボルとは異なり,同じCherryMXスイッチであったとしても1Uなのか1.25Uなのかで別のフットプリントを使う必要があります. つまり, どのスイッチがどのフットプリントなのか を関連づけなくてはいけないということです. 例えば,”SW_00"(0行0列のスイッチ)は1U,”SW_01"(0行₁列のスイッチ)は2.25Uといった事です. このシンボルとフットプリントの関連づけは前回お絵描きしたものを参考にしながらやるとはかどります. これですね. 今回作るキーボードでは.2行5列(SW_14)のキースイッチは1.5U,5行7列(SW_46)は6.25U,といった感じですね. ツールバーのてんとうむしのアイコン右隣りのアイコンで関連付けを設定します. こんな感じですね. このシンボルとフットプリントの関連付けをしないと次の作業に移れません.回路図を書いたらこの作業をすることになります. これで準備万端です. 目がチカチカする色づかい PCB作業ウィンドウ(?)に移ると,とても目がチカチカします. まずは乱雑に配置されたフットプリントをきれいに並べるところから始めま

左にテンキーがあるキーボードが作りたい [3]

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左にテンキーがあるキーボードが作りたい 第3回です. 前回はキー配列を見直し,最終的にどの配列にするかきめました. これですね. 今回はいよいよKicadで基板設計を行っていきます. Kicad は電子基板設計用のCADとして有名なフリーソフトです.ワークフローが少し特殊(主観)なCADですが,その使い方などについては今回触れません,悪しからず. なんだかややこしいキーマトリックス 配列が決まったら回路図を考えます. と言っても,いきなり回路図を書き始められるほどの能力は残念ながら無いのでまずは頭の整理から始めましょう. 言ってませんでしたが,キー配列は keyboard-layout-editor.com で上記のように作ることができます.これをテキトウな画像形式でエクスポートしましょう. それを印刷するのがいいのでしょうけど,あいにく私はプリンターが無いのでパワーポイントに張り付けてお絵描きします. 雑ですが,この格子がキーマトリックスを表しています.ProMicroでは81キーまでのキーボードしか作れないことは前回お話しましたが,限界いっぱいのキーボードを作るためには,キーマトリックスと実際のキーの対応をどのようにするのかが重要になります(個人的に). お絵描きをしながらキーマトリックスとキーの対応を考えることで,失敗は少なくなると思います. 対応を考える時に大きな 問題 があります.キーボードは5行19列(最大値をとって)なのに対して,キーマトリックスは9行9列なのです.つまり, 5行19列を9行9列に押し込まなくてはいけません. そのため,キーボードを左右で半分に,それらを上下で重ねる形で9行9列へと変換します. こんなイメージです.2つの画像の線の色は対応しているのでイメージがしやすいかと思います.赤,青の線と緑の線の交点にスイッチがあると思ってください. キーボードの特性上,5行目はキーが少ないのでここをすこしいじれば比較的簡単に2分割できますね.1~5行は左半分を,6~9行は右半分を受け持つ形です.列の線は色分けしていないですが,番号を振ってあるのでそれを見ればどういう風になってるのか分かると思います. さて,ここまでで頭の整理は終わりです. そろそろ回路図を書きましょう. 回路図はシンプルで綺麗 お絵描きで頭の中整理した方がいいとか言っときながら,

左にテンキーがあるキーボードが作りたい [2]

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左にテンキーがあるキーボードが作りたい 第2回です.基板設計の続きやっていきましょう. 前回こんな感じのキーボードにしようかと考えていたものですが, このままでは作れないものでした (ただの設計ミス). という感じで今回は”左にテンキーがあるキーボード”の配列を引き続き検討していきましょう. 何がだめなのか そもそもなぜ前回の配列だと作れない(技術力的に)のかについて説明します. 結論から言えば キーが多すぎる ためです. スイッチを制御しているマイコンであるProMicroには18個のデジタル入出力ポート(?)があります.この18ポートで キーマトリックス を作ることでどのスイッチが押されたのかを識別しています. マトリックス(matrix)は行列を意味するため,18ポートであれば9 x 9(9行9列)の行列が作れることになります.したがって,81個のキーが制御できるわけです. 逆に言えば,18ポートしかない ProMicroでは81個以上のキーを識別できない ことになります(分割キーボードのようにProMicroを2台使う場を除き,1台で使用する場合). 前回設計した配列では87キーのため,1台のProMicroでは作れないことになります.これが設計を変更するへと至った理由です. 修正と再検討 81キーに収まるように配列を修正したのがこちら. テンキーがあること以外は普通の配列になってしまいましたね. しかし,これなら81キーピッタリなので作ることはできます. 赤字は別のレイヤーを示しています.これなら実用可能な配列ではないでしょうか. 実際,初めて自作したキーボードの配列はこの配列からテンキーをとったものと全く同じです.日常使いでしたら不満もなかったので問題ないといえるでしょう. 悪くない気がするのでこの配列で設計を進めようと思います. 悩んでいても面白くないので,とりあえず話を先に進めていきます.設計を進めていく中で問題があればまた戻ってくればいいだけですからね(今は時間が半無制限にあるので). 次回はKicadで設計作業に入ります. ではでは~

左にテンキーがあるキーボードが作りたい [1]

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既にキーボードを1台自作しましたが,新しいキーボードが欲しくなりますね. 不満を解消すべく何か対策をしたとしても,またあらたな不満が出てくるという無限ループです. テンキーが左側にほしい 一般的に,フルサイズキーボードと言えば右側にテンキーがあるものを指します. フルサイズキーボードを買わない多くの人がキーボードとマウスとの距離を気にしているのではないのでしょうか. キーボードとマウスが遠くなると移動する距離が増えてしまいます.これについては,やはり許容しがたいことです. また,最上段のFキーについても,使わない人にとっては邪魔なだけですね. しかし,CADをよく使う身としてはやはりテンキーが必要な場面が多々あります. そのため,私はテンキーだけを別途購入しキーボードの左側に置いて使ってました. こんな感じでいつも作業しています.使っているのはElecomの一番安いメンブレンの有線テンキーですね. 残念ながらこれでも満足はできなかったです.このセットアップには 問題点 が2つあります. 1.ケーブルをパソコンに2本刺さなくてはいけない 私はノートパソコンをディスプレイに接続して作業をしているので,USBポートを2個占領されるとなかなか厄介です.USBハブを導入しましたが,やはり数が限られているため,1本にまとめてしまいたいところですね. 2.見た目が美しくない これは重大な問題です.キーボードとテンキーを並べた時に見た目がどうにも気に入らないです.ケーブルが2本出ているのもなんだか気に食わないですね.メカニカルキーボードとメンブレンキーボードなので,大きさも高さも違うのも許容しがたいです. そんなこんなで”フルサイズキーボードだけど左側にテンキーがあるキーボード(Fキー抜き)”が欲しくなったわけです. 無いなら作ればいい いくらほしくても左側にテンキーのあるキーボードなんてなかなか売ってません. 無いなら作ればいいんです. 調べてみると売ってはいるようですが,やはり自分の満足できるキーボードはそう簡単には見つからないので作った方が手っ取り早いでしょう. こんな感じの配列にしようかと思います. dz60をベースにして,スペースキーを3つに分割し,矢印キーが単独でほしいので右端に詰め込みました. 悪くないです. といった感じで左にテンキーがあるキーボードを作っていこうか

キーボードを自作したお話 [1]

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昨年の自粛期間に作ったキーボードの話を数回に分けて書こうと思います. 電機関係にはめっぽう弱い機械科の学生がどうやってキーボードを作ったのか記録しておきます. さて, キーボードが必要と思った時に,いきなり「 作ろう! 」となる人はいないでしょう. 私がキーボードを作るに至った経緯をはじめに記述しようと思います. 買ったキーボードが気に入らなかった 私の家にはノートパソコンしかなかったため,コロナ渦における在宅時間の増加に伴ってキーボードを買いました.そのキーボードをしばらくは使っていたんですがどうにも気に入らなくて...  それで結局作っちゃったわけなんですけど,まずは最初に買ったキーボードについて少し書いときます. 私がキーボードを買う際に気にしていたことは以下の通り, 1.メカニカルキーボードであること ノートパソコンのぺちぺちとしたキーボードから脱却すべく買うのでメカニカルキーボードであることは譲れない条件です. 2.60%程度のサイズであること 60%のキーボードを選ぶ理由としては,サイズ感といった理由が大半だと思います.私の場合は,テンキーを左手で使うという特殊環境のため右手側にテンキーは必要ないためフルサイズキーボードは条件に合致しません.Fキーも頻繁に使うわけではないのでコンパクトな60%がよかったわけです. 3.値段が手ごろであること 学生ということで金銭的に余裕が無いのは言わずもがなといった感じでしょう.値段を気にしないのであれば選択肢は大いに広がるのも事実です. 4.独立したEscとDelがあること CADなどを頻繁に使う私にとってはEscとDelが独立したキーであることは譲れない条件です.60%の場合はDelは独立していないため,65%キーボードが適合しそそうです. この4つの条件を良い感じで満たしてそうだったのがこちら, キーキャップが変わってるのでわかりづらいですがこの製品です. https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07QYV7KBF/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o08_s00?ie=UTF8&psc=1 cherryMXの茶軸,赤軸もしくはOutemuの茶軸,赤軸の4つから選択可能です.私が買ったのはOutemuの赤軸です. 使っていて感じた 問題点 は以下の通り,

ブログを開設しました

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自分の活動を記録する意味でブログを開設しました. 特に目標は無いのでゆるく運営すつもりです. 足跡という意味のFootprintとかけてDotprinとしています. 写真はGateronのクリアー軸です.リニアで軽め(35g)のスイッチで一番のお気に入りです. あまり期待せずにご読んでください. ではでは~